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金沢市のデジタル人材育成を解説!   Part3~デジタル行政推進リーダー~

こんにちは!デジタル行政戦略課のあさながです。
金沢市のデジタル人材育成を解説!シリーズその3
最終回は「デジタル行政推進リーダー育成研修」です!

私が3年間担当をつとめる、思い入れの強い研修です。
最後まで是非お付き合いください。

研修概要

「デジタル行政推進リーダー育成研修」は、
令和3~7年の5年間で各年20名を対象に、
「組織の課題を解決し、DX推進を担う人材」を育成する研修です。

過去のリーダー研修は別記事でも度々登場しています。

受講者の選定方法

職種の制限はなく、業務でPCを使用する職員を対象に募集。
原則自薦とし、意欲的な職員を募ります。
その後、所属部局の偏りを調整(1部局1~3名)し、
20名の受講者を決定しています。

しかし!
20名全員が自薦で集まることはないのです。

そのため、
全庁へのリーダー活動の広報や
有力な人材への勧誘などの
地道な努力を重ねて研修参加者を集めています。

庁内広報誌「DX通信」

研修の実施体制

連携協定を締結している
・日本マイクロソフト株式会社
・株式会社システムサポート
 との連携により実施しています。

研修の全体像

5月にキックオフを行い、11月までの半年間みっちり行います。
全体の所要時間は100~200時間に及ぶ、壮大な研修です!
※原則業務時間内で実施

ポイントは、
デジタルツールの習得や知識の獲得だけではなく、
市民目線での課題発見や解決に向けた
「サービスデザイン思考」の習得に主眼を置いている点です。

研修のスケジュール

研修内容①~基礎知識の習得~

まずはDXに必要となる知識を習得します。
・用語(APIやクラウドなど)
・マインドセット(データ利活用やサービスデザイン思考など)
活用したのは、前回紹介した
総務省や経産省の提供している学習コンテンツです。

自主学習アプリも自作(氏名は伏せてます)

これらを自主学習形式で学んだ後、
ワークショップを通じて以下を浸透させます。
・コラボレーション
・アジャイルマインド
・サービスデザイン思考

ワークショップは「楽しむ」

研修内容②~専門ツールの演習~

自らの手で現場主導のDXを実現するためには、
デジタルツールが有効な武器となります。

ここでの目的は、
様々なデジタルツールの演習を通じて
技術の活用アイデアを持てる人材を育てることです。

エンジニアを育成するわけでなく
内製できるものと外注すべきものの判断ができる人材というわけです。

演習メニューは以下の通り。
外部講師の方や市職員により演習を行います。

【必修】(講義時間)
 ・Microsoft365(4時間)
 ・Microsoft Power BI(3時間)
 ・Microsoft Power Automate(6時間)
 ・Microsoft Power Apps(6時間)

【年により実施したりなかったり】
 ・UiPath(40時間・・・ツライ)※R3のみ
 ・Kintone(2時間)※R4のみ
 ・Glide(2時間)※R4のみ、R5は希望者受講

ツールの演習メニュー

※過去の研修記事はこちら

研修内容③~課題解決プロジェクト~

デジタル行政推進リーダー育成研修のメインともいうべき
「課題解決プロジェクト」。
サービスデザイン思考による課題の解決に挑みます。

「課題解決プロジェクト」の進め方

内容や成果は以下記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。

研修内容④~次年度政策提案~

研修の最終課題として、
個人による政策提案を行います。

政策提案概要(説明資料より抜粋)

目的は、受講生一人ひとりが研修の学びを生かした提案を行う
アウトプットの場を設けることです。

かつ、良い提案は実装に向けて予算獲得なんかも目指します。

過去の提案作品

研修修了後の活動

研修修了後のリーダー活動は現在検討中となりますが、
アジャイル的に以下のような活動をしています。

【修了後の活動コンセプト】
・本来業務に支障がない範囲で自由に活動OK
・学習ツール(Microsoft365関連)は継続利用可

【活動例】
〇所属課内の活動
・課内の課題集めや課題解決
・DX関連施策の立案(補助) などなど
〇リーダー同士の活動
・組織課題の解決(プロジェクトチーム)

こうしたなか、いくつか好事例が生まれています。

事例1 施設点検アプリ

作ったアプリで施設点検を行うリーダー

行政によくみられる、
現場で点検や監査を行う業務に活用するアプリを
PowerAppsで実装した事例です。

紙の調査票で点検し、帰庁してからExcelに入力していたものを、
現地から直接データベースに入力できるGoodなアプリです。

事例2 貸出機器の管理アプリ

アプリ操作手順

組織内でOA機器の貸出管理をしている団体・組織も
多いのではないでしょうか。

もとは職員が目検と手渡しで貸出管理していた機器ですが、
PowerAppsアプリを使ってセルフ貸出を実現しました。

まとめ

全3回にわたって金沢市のデジタル人材育成を解説してきました。

令和3年から始めたデジタル人材育成ですが、
紹介したもの以外にも成果が出始めています。

これからも発信していきたいと思いますので、
次回の記事もお見逃しなく!